第17回

彗星

【彗星】

  夜空を彩る星   その幻想的な瞬きはとても美しいもの。

  夜空にきらめくたくさんの星の中でも、今回は特に「彗星」についてのお話をしよう。

    彗星は、平安時代から「箒星(ほうきぼし)」という名称で「続日本紀」という書物にも登場し
 ているんだ。特に989年に出現したハレー彗星は、当時最高の陰陽師と言われ、天文博士の任にあ
 った阿部清明も観測していたであろうと思われているんだね。 

  ちなみに「彗星の出現」はごく稀な現象であり、古代の人々にとって彗星の出現は「凶兆」でも
 あったんだ。例えば  「日本書紀」舒明紀には

  『十一年(639年)春正月の己巳に長き星西北に見ゆ。時に旻師が曰く「彗星なり。
  見ゆれば飢す。とい。(=彗星が出現したら、飢餓が起こる)
 
 という記録が残っていて、989年のハレー彗星出現の際には、縁起が悪いということで元号が永延か
 ら永祚へと改元されているくらいなんだ。現代では流星群とともに人気が高い彗星だけれど、古代
 の人々は、そのあまりに圧倒的な存在感に強い畏怖の念を覚えていたんだね。 
  
  そして最近話題になっているのが『ハートレイ彗星』
 
  よく知られているハレー彗星、百武彗星、ヘールボップ彗星ほど明るくは
 ならない(明るさは4~6等級)ものの、1986年の彗星の発見以降では地球に
 最も近づく彗星で、双眼鏡などを使用しなければ見えにくかった今までの彗
 星と比べると、暗い場所では「肉眼でも見ることができた!」と言う人も
 多いほどなんだ。
  2010年10月20日から21日にかけて地球に最接近し、太陽には10月28日に接近し、ガスをたくさ
 ん放出するなど、その前後にかけて明るくなるんだね。


  宇宙の神秘を自分の目で見ることができるなんて、秋の夜空を眺めるのもロマンチックだよね。