彗星
【彗星】
夜空を彩る星 その幻想的な瞬きはとても美しいもの。夜空にきらめくたくさんの星の中でも、今回は特に「彗星」についてのお話をしよう。
彗星は、平安時代から「箒星(ほうきぼし)」という名称で「続日本紀」という書物にも登場し
ているんだ。特に989年に出現したハレー彗星は、当時最高の陰陽師と言われ、天文博士の任にあ
った阿部清明も観測していたであろうと思われているんだね。
ちなみに「彗星の出現」はごく稀な現象であり、古代の人々にとって彗星の出現は「凶兆」でも
あったんだ。例えば 「日本書紀」舒明紀には
『十一年(639年)春正月の己巳に長き星西北に見ゆ。時に旻師が曰く「彗星なり。
見ゆれば飢す。」といふ。(=彗星が出現したら、飢餓が起こる)』
という記録が残っていて、989年のハレー彗星出現の際には、縁起が悪いということで元号が永延か
ら永祚へと改元されているくらいなんだ。現代では流星群とともに人気が高い彗星だけれど、古代
の人々は、そのあまりに圧倒的な存在感に強い畏怖の念を覚えていたんだね。
そして最近話題になっているのが『ハートレイ彗星』。
よく知られているハレー彗星、百武彗星、ヘールボップ彗星ほど明るくは
ならない(明るさは4~6等級)ものの、1986年の彗星の発見以降では地球に
最も近づく彗星で、双眼鏡などを使用しなければ見えにくかった今までの彗
星と比べると、暗い場所では「肉眼でも見ることができた!」と言う人も
多いほどなんだ。
2010年10月20日から21日にかけて地球に最接近し、太陽には10月28日に接近し、ガスをたくさ
ん放出するなど、その前後にかけて明るくなるんだね。
宇宙の神秘を自分の目で見ることができるなんて、秋の夜空を眺めるのもロマンチックだよね。